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音の疑問 ・ 第3章 物語にする

切ないコード進行の、切なさはどこから来る?

明るい帰り道の途中で、和音がひとつだけ影のある形に変わる。FをFmに替えるだけで帰り道が変わる仕組みを、机の上で聴き比べます。

さきに、こたえ

切なさの一例は、明るい流れの途中で、和音がひとつだけ影のある形に変わることから来ます。C→Am→F→G→C のFをFmに替えると、帰り道の途中で夕暮れが差し込み、それでも家に帰る、というふうに聞こえる人が多いようです。下の机で、3つ目の和音だけ差し替えて聴き比べてみてください。

2026.09.22 ・ 約5分

帰り道は同じ。途中の和音をひとつだけ替えてみよう。帰ってきたときの気分は、同じかな?

今日の窓 / 木漏れ日
1Cド・ミ・ソ
2Amラ・ド・ミ
ここを入れ替えるFファ・ラ・ド
4Gソ・シ・レ
5Cド・ミ・ソ

いまの響き

途中の和音で、帰り道が変わる。

C → Am → F → G → C

音は操作したときだけ鳴ります

景色は、響きから想像したひとつの表現です。感じ方に正解はありません。

変わったのは、途中のひとつの和音

机の上の道のりは C→Am→F→G→C です。3つ目のFをFmに替えると、帰り道が変わります。Fはファ・ラ・ド、Fmはファ・ラ♭・ド。動いたのはラがラ♭に下がる1音だけで、その後はGからCへ、どちらも同じように帰ります。それなのに、Fmを通った版は、帰ってきたときに少し目を伏せているように聞こえる人が多いようです。私には、明るい道を歩いていたら雲がひとつ通り過ぎ、家に着くころには晴れていた、というように聞こえました。

切なさは、Fmという和音そのものだけから来るのではなさそうです。前にあるCとAmは明るい、あるいは穏やかな景色。そこにFmで一瞬だけ影が差し、そのままGからCへちゃんと帰ってくる。「影が差したのに、帰ってくる」という落差が、切なさの正体のひとつです。試しにFmで止めてしまうと、影があるだけで切なくはならない、と感じる人もいます。

名前を知る

Fは、トニックのCから見て4番目の和音で サブドミナント と呼ばれます。それをマイナーにしたFmが サブドミナントマイナー です。

F(サブドミナント)

ファラド

3つとも、Cメジャーの音階の中の音

Fm(サブドミナントマイナー)

ファラ♭ド

ラ♭は、この調の外から借りてきた音

Fmに含まれるラ♭は、Cメジャーの音階にはない音です。同じ土台を持つCマイナーから一時的に借りてくるので、借用和音とも呼ばれます。ラ♭は次のGの和音のソへ半音で下りていくため、影が差したあとに自然と帰り道へ戻ります。

理論上の事実

FをFmに替えると長3度が短3度になる。ラ♭は調の外の音で、次の和音のソへ半音下がって進む。

景色(比喩)

この記事では、帰り道の途中で夕暮れが差す、という絵で表しています。

感じ方(文脈で変わる)

切ない・懐かしい・ドラマチック。テンポや前後の和音、歌い方、Fmをどれだけ長く伸ばすかでも変わります。

Fmを入れれば必ず切なくなる、というわけではありません。速いテンポやにぎやかな伴奏の中では、華やかなアクセントとして聞こえることもあります。切なさの型はほかにもあり、次の体験では、明るい和音のあとに影が差す別の進行を扱います。

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