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名前のある進行 ・ 第3章 物語にする

王道進行とは? 明るい和音のあとに影が差す理由

F→G→Em→Am。明るく進んでいた流れの3つ目でふっと影が差し、落ち着かないまま次へ続く。4536進行とも呼ばれるこの型の正体を、机の上で確かめます。

さきに、こたえ

王道進行は、IV→V→IIIm→VIm(Cメジャーなら F→G→Em→Am)の順に和音を並べた進行で、「4536進行」とも呼ばれます。明るい2つの和音のあとに Em が来て、光の中にふっと影が差したように聞こえる人が多い、というのが近い言い方です。下の机で、3つ目の和音を差し替えて聴き比べてみてください。

2026.09.22 ・ 約4分

4つの和音を、順番に鳴らしてみよう。3つ目のところで、何か変わるかな?

今日の窓 / 夕暮れ
1Fファ・ラ・ド
2Gソ・シ・レ
ここを入れ替えるEmミ・ソ・シ
4Amラ・ド・ミ

いまの響き

明るい和音のあとに、影が差す。

F → G → Em → Am

音は操作したときだけ鳴ります

景色は、響きから想像したひとつの表現です。感じ方に正解はありません。

この流れの、どこで景色が変わる?

「この流れを聴く」で鳴っていたのは、F→G→Em→Am の4つです。最初の2つは、窓を開けたように明るく進みます。ところが3つ目の Em に入った瞬間、同じ部屋のまま光の角度が変わったように聞こえた人が多いのではないでしょうか。私には、木漏れ日が一度だけ雲に隠れて、そのまま夕方へ滑り込むように聞こえました。

3つ目を E メジャーに差し替えると、この影は差しません。かわりに、次の Am へぐっと引っぱる力が生まれます。Em か、E か。動いたのは真ん中の音ひとつなのに、流れの意味がまるごと変わります。「影」の正体は、この1音です。

もうひとつの見どころは、終わり方です。4つ目の Am は家(C)ではないので、流れは着地しきらず、そのまま次のひと回りへ続いていきます。この「落ち着かないまま続く」感じも、この進行らしさの一部です。

名前を知る

この進行は、度数で書くと IV → V → IIIm → VIm です。数字だけを並べて 4536進行 とも呼ばれ、日本語では 王道進行 という名前が定着しています。J-POPで多く使われてきた型として知られています。Cメジャーでの実際の和音と構成音は、次のとおりです。

順番度数Cメジャーでの和音構成音
1IVFファ・ラ・ド
2VGソ・シ・レ
3IIImEmミ・ソ・シ
4VImAmラ・ド・ミ

体験で差し替えた E(ミ・ソ♯・シ)は、Cメジャーの調にもともと無いソ♯を含みます。Em の真ん中の音を半音ひとつ上げただけで、影が消えるかわりに、次の Am へ向かう強い引力が生まれます。

理論上の事実

IV → V → IIIm → VIm の4つを並べた進行。3つ目と4つ目がマイナーで、家(I)に着かずに次のひと回りへ続く。

景色(比喩)

この記事では、木漏れ日の窓に一度だけ雲がかかり、そのまま夕暮れへ滑り込む、という絵で表しています。

感じ方(文脈で変わる)

影が差す・切ない・胸が高鳴る。速さや音の高さ、メロディの動き、前後に来る和音でも印象は変わります。

この進行だから必ず切ない、というわけではありません。同じ F→G→Em→Am でも、速いテンポや明るい音色で鳴らすと別の表情になります。次の体験では、低音が階段のように下っていく別の型を扱います。

アトリエに新しい部屋ができたら、一度だけお知らせします。