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名前のある進行 ・ 第3章 物語にする

カノン進行とは? 下っていく低音の上で景色が続く理由

C→G→Am→Em→F→C→F→G。8つでひと回りして何度でも繰り返せる流れ。1564進行とも呼ばれるこの型の落ち着きの正体を、低音の足どりから確かめます。

さきに、こたえ

カノン進行は、I→V→VIm→IIIm→IV→I→IV→V(Cメジャーなら C→G→Am→Em→F→C→F→G)の順に和音を並べた進行で、前半の数字から「1564進行」とも呼ばれます。低音が規則正しく下っていくので、上の和音が明るくても翳っても、景色が途切れずに続くように聞こえる人が多い、というのが近い言い方です。下の机で、5つ目の和音を差し替えて聴き比べてみてください。

2026.09.22 ・ 約4分

8つの和音を、順番に鳴らしてみよう。いちばん低い音の足どりを、追いかけてみて。

今日の窓 / 木漏れ日
1Cド・ミ・ソ
2Gソ・シ・レ
3Amラ・ド・ミ
4Emミ・ソ・シ
ここを入れ替えるFファ・ラ・ド
6Cド・ミ・ソ
7Fファ・ラ・ド
8Gソ・シ・レ

いまの響き

下っていく低音の上で、景色が続く。

C → G → Am → Em → F → C → F → G

音は操作したときだけ鳴ります

景色は、響きから想像したひとつの表現です。感じ方に正解はありません。

この流れの、どこで景色が変わる?

「この流れを聴く」で鳴っていたのは、C→G→Am→Em→F→C→F→G の8つです。明るい和音と少し翳った和音が交互に現れるのに、全体はどこか落ち着いていて、いつまでも眺めていられる。私には、ゆるい坂道を下りながら、窓の景色が少しずつ移っていくように聞こえました。

その落ち着きのもとは、いちばん下で鳴っている音の足どりにあります。下って、少し戻って、また下る。この歩き方が3回続いたあと、最後の2つで階段を上り直し、また最初の C に戻ってきます。上の和音が明るくても翳っても、足もとの歩幅が揃っているので、景色が途切れずに続いて聞こえるのです。8つでひと回りして、何度でも繰り返せるのも、この型の持ち味です。

5つ目を Fm に差し替えると、坂道の途中で一度だけ影が差します。足どりは変わらないのに、そこだけ空気が冷えたように聞こえる人が多いようです。動いたのは真ん中の音ひとつ、ラがラ♭になっただけです。

名前を知る

この進行は、度数で書くと I → V → VIm → IIIm → IV → I → IV → V です。前半4つの数字から 1564進行 とも呼ばれます。名前の由来は、パッヘルベルの「カノン」で低音がこの順に繰り返されていることです。そこから カノン進行 と呼ばれるようになりました。

順番度数Cメジャーでの和音構成音
1ICド・ミ・ソ
2VGソ・シ・レ
3VImAmラ・ド・ミ
4IIImEmミ・ソ・シ
5IVFファ・ラ・ド
6ICド・ミ・ソ
7IVFファ・ラ・ド
8VGソ・シ・レ

いちばん下の音(根音)を並べると、ド・ソ・ラ・ミ・ファ・ド・ファ・ソです。1つおきに見ると ド→ラ→ファ、ソ→ミ→ド と、2本の階段が並んで下りています。伴奏では G を「シ」の上に、Em を「ソ」の上に、C を「ミ」の上に乗せ、低音を ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ と一段ずつ下らせる弾き方もよく使われます。どちらでも、低音が規則正しく下る、という骨組みは同じです。体験で差し替えた Fm(ファ・ラ♭・ド)は、Cメジャーの調に無いラ♭を含むので、そこだけ影が差します。

理論上の事実

I → V → VIm → IIIm → IV → I → IV → V の8つがひと回りで最初に戻る循環。低音は一定の型で下り、最後の2つで上り直す。

景色(比喩)

この記事では、ゆるい坂道を下りながら移っていく窓の景色、という絵で表しています。

感じ方(文脈で変わる)

安心する・懐かしい・切ない。速さや楽器、メロディの動き、どこで止めるかでも印象は変わります。

この進行だから必ず穏やか、というわけではありません。同じ8つでも、速いテンポや低い音域で鳴らすと別の表情になります。次の体験では、切なく聞こえる進行に共通する正体を扱います。

アトリエに新しい部屋ができたら、一度だけお知らせします。