変わったのは、メロディの立ち位置
机の上のメロディは、伴奏Aでも伴奏Bでもまったく同じ音の並びです。伴奏Aは C→F→G→C、伴奏Bは Am→F→G→Em。真ん中の2つ(FとG)は共通で、変わっているのは最初と最後の和音だけです。それなのに、Aは昼の散歩、Bは夕方の帰り道のように聞こえる人が多いようです。私には、同じ人が同じ言葉を、違う気分で言い直したように聞こえました。
メロディの最初の音はミです。伴奏AではCの和音(ド・ミ・ソ)の真ん中の音として鳴り、伴奏BではAmの和音(ラ・ド・ミ)のいちばん上の音として鳴ります。音の高さは1ミリも変わっていないのに、支える和音のどこに座っているかが違う。最後に長く伸びるソも、Cの上ではいちばん上の音、Emの上(ミ・ソ・シ)では真ん中の音になり、着地の感じが変わります。
メロディは一人で歩いているように見えて、実は下の和音との関係で聞こえ方が決まっている。ここがこの記事の芯です。
名前を知る
下で支える和音の並びを コード進行 と呼びます。メロディの各音が、その瞬間に鳴っている和音の何番目の音に当たるか(1番目=根音、3番目、5番目)で、同じ高さの音でも役割が変わります。
伴奏A・最初の和音 C
ドミソ
メロディのミは、和音の真ん中(3番目)伴奏B・最初の和音 Am
ラドミ
メロディのミは、和音のいちばん上(5番目)伴奏Aはメジャーの和音から始まり、メジャーの和音に帰ります。伴奏Bはマイナーの和音から始まり、マイナーの和音(Em)に着きます。メロディの音はどちらの和音にも含まれる音だけで作ってあるので、どちらに乗っても外れません。
理論上の事実
同じ高さの音でも、支える和音が変われば、その音が和音の何番目かが変わる。聞こえ方は和音との関係で決まる。
景色(比喩)
この記事では、同じ道を昼と夕暮れに歩く、という絵で表しています。
感じ方(文脈で変わる)
Aは開いた・Bはしっとり、と聞こえる人が多い一方、逆に感じる人もいます。テンポや楽器、歌い方でも変わります。
伴奏Bが必ず切なく聞こえる、というわけではありません。同じメロディでも、速く弾けば伴奏Bのほうが軽やかに聞こえることもあります。「どの和音の何番目か」は、印象を決める大きなひとつの手がかりです。
次の体験へ
曲が「終わった」と感じるのは、なぜ?
終わった感じの正体は、引っ張る和音のあとに中心の和音へ帰ってくること。最後の一歩だけ替えて、帰れた・浮いた・すかされたを机の上で聴き比べます。
- 参考: Open Music Theory「Triads」(三和音の構成音)
- 参考: Open Music Theory「Roman Numerals and SATB Chord Construction」(和音と旋律の関係)
- この記事の音は、ブラウザの中で合成しています。楽曲の録音や外部サービスは使っていません。
